いらっしゃいませ♪ PART3

前の「いらっしゃいませ♪」のコメが20近くになりましたので、新しい記事にしました。
遊びにいらしてくださった方、どの記事にコメントしたらいいのかわからない場合に、こちらにコメント残してくださると嬉しいです^^

では、よろしくお願いします!

以前の「いらっしゃいませ♪」は、カテゴリ「999)いらっしゃいませ♪」に残しています^^

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2009/11/29

医者を悩ます「ニュータイプなうつ病」がわかる本

医者を悩ます「ニュータイプなうつ病」がわかる本
著者:山田和男
★★★★☆

なかなか私のうつ病が治らないなぁと思っていたところ、「非定型うつ病」という診断がくだされた。新しいタイプのうつ病のようである。
最近、うつ病患者が増えていると、あちらこちらで言われているが、それは何故なんだろう?
「日本人がヤワになったんだ」
「不況が悪いんだ」
いろんな理由が飛び交っている。
ホントのところはどうなんだろう?
また、これってホントにうつなの?という疑問を感じる症例もよく聞くようになった。会社は行けないけど、遊びには行けるとか、ね。
それはホントのところ、どうなの?

そんな疑問に「こうじゃないのかなぁ」というヒントを与えてくれるのがこの本だ。
著者は精神科医で、大学の准教授。
今の日本のうつ病患者と、数十年前のうつ病患者とでは、かなりの違いがあるという。
そういう話についての本は他にも、結構読んでいるが、こちらはちょっと軽いテイストな文章で書かれている。しかし、内容はとてもしっかりしており、薬の説明や、症状からみるうつ病タイプの分類など、非常にわかりやすい。

昔からいうところの「うつ病患者」は、比較的治りやすく、ニュータイプな「うつ病患者」は治りにくいらしい。その理由にもちゃんと触れられている。なるほど~というところだ。

深刻なメランコラリー型のうつ病患者が直接読むのは薦めない(というか、そういう方は本は読めないだろう)。
職場に「出勤してはすぐ休むを繰り返す部下(私のように^^;)」がいたり、家族がそうだという方、そんな方々にお薦め。
目からウロコが落ちるかもしれない。

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2009/11/20

『書評の鉄人列伝 第200回 “あがさ”さん』 やったね♪ 

いつも書評を投稿しているサイト「オンライン書店ビーケーワン」から、コメントを書いて欲しいと言われて、書いたものが載りました♪
今日から1週間、載りますので、よろしかったらご覧ください^^

書評の鉄人列伝

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2009/11/18

相棒 Season1第3話「亀山薫の憂鬱な日々」

相棒season1(朝日文庫)
相棒 スリム版 シーズン1 DVDセット
脚本:輿水泰弘ほか
ノベライズ:碇卯人
★★★☆☆

特命係の2人は、手分けして大量の下着を持ち主の女性宅へ配って歩いていた。逮捕された下着泥棒の供述の裏付けである。しかし、盗んだ先を一軒一軒覚えているとは素晴らしい記憶力だ。
亀山はうんざりしていたが、右京も同じように女性ものの下着を手に女性の前で同じことをしているのだと思うと、可笑しさに気が紛れた。
それまで胡散臭がられながらも順調に返却してきたのに、最後の1枚になって「私のではありません!」と受け取りを拒否されてしまい、その1枚を手に、とぼとぼと署に戻ったのだ。
それが、ある警察署の上部をも揺るがす大事件(殺人事件と言ってもよい)に繋がるとは、亀山にもさすがの右京にも想像できなかっただろう。

上層部はトカゲの尻尾切りですまそうとする。
そんなんだから、組織は腐っていく。
明らかにしても誰も救われない。しかし明らかにしてしまえば皆が傷つく。それでも真実は真実として受け止めなければならない。それが右京の変わらぬ姿勢だ。
そんな右京に、まだ少し違和感を覚えてしまう亀山。
頑張れ!
それじゃ、立派な「相棒」になれないぞ!

この第3話にはもう一つ事件が。

麻薬取り締まりのお手伝いをしていた。
さぁ、今だ!捕まえるぞというときに捜査1課に乗り込まれた。なんでも近くで殺人事件が起きたらしい。
おかげで麻薬の売人が逃げてしまった。
捜査1課を恨めしそうに見ながら、逃げた売人を追う捜査2課。その中には亀山と右京もいた。
しかし、右京は急ぐことなく、近くの寄席で落語を観ようと言い出す。亀山にはその意図がわからない。
あとで聞いてなるほどと頷くことになるのだが、相変わらず右京の思考回路はどれだけの早さで動いているのだか不思議である。
しかし、ここから殺人事件解決の紐が解けていくとは...。

1話で2つの事件。
ちょっとお得感のある第3話だった。
(ドラマでは、2話になるものが1つにまとめられています。)

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2009/11/14

相棒 Season1第2話「妄言の果て」

相棒season1(朝日文庫)
相棒 スリム版 シーズン1 DVDセット
脚本:輿水泰弘ほか
ノベライズ:碇卯人
★★☆☆☆

亀山が同棲中の美和子と待ち合わせをしていたフレンチレストランで待ちぼうけを食らっているとき、ふと外をみるとビルの屋上に女性が立っていた。今にも飛び降りそうな雰囲気で!
急いで駆けつけ、何とか確保した女性が発した言葉は...。
「私、人を殺しました」

相棒の杉下右京を呼び、彼女・神林淳子が言う殺人場所である駐車場へ向かうと、そこには死体はなかった...。彼女は確かに殺したと言い張る。自分の車の助手席で男の胸を刺したと。
しかし、死体はない...。
右京は何か引っかかるものを感じるが、無いものは無いのだ。
血痕が残っていないか調べてみたが、反応は出なかった。

そのうち、特命係の二人は刑事部長に呼ばれる。
なんと淳子の夫・神林寿一朗は、国家公安委員を務める大学教授だったのだ。
彼が言うには、「妻は精神的に病んでいまして、殺人事件は妄想の産物です。」とのこと。
これで一件落着としたいらしい。

だが、言うまでもなく右京はそれで納得するような男ではない。

なかなか大がかりなトリックだ。
権力に屈しない右京の姿勢が改めて感じられる作品でもある。そして、右京の度胸の良さも。
亀山くんはまだ一刑事のまま。
相棒になりきれていないのかな。
そんな雰囲気が漂っている。
立派な「相棒」になるのはこれからだ。

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2009/11/13

ブーリン家の姉妹〈下〉

ブーリン家の姉妹〈下〉
著者:フィリッパ・グレゴリー
訳者:加藤洋子
★★★★☆

上巻で好き勝手に振る舞ってきたアンの凋落振りが嘘のようで、くるくる回る運命の凄まじさに圧倒されてしまった。
自ら王をたぶらかし、暴君に仕立て上げてしまったアン。
その見返りが、まさか自分に向けられる日がくることなど、予想だにしなかっただろう。

ヘンリーはだんだんとアンの思い通りにならなくなっていった。それは皮肉にもアンが国王に囁いた言葉に操られ暴君となったからである。アンは自分で自分の首をとばすことになったのだ。
アンの思惑通りだったかどうかわからないが、国王は自分は一番だと、誰よりも偉いのだと、そう思うように変化していったのである。

アンは権力にだけしがみついた。本当の愛を理解していたかどうかわからない。王妃の座。国王でさえ思いのままにする力。それだけを求め続けた。
そのためにはどうしても国王の息子を産まなければならない。最初に生まれたのは元気な女の子。後のエリザベス1世だ。その後も妊娠はするものの流産、早産を繰り返す。最後に選んだ手段は...。
そのために、断頭台の露と消えることになってしまったアン。

一方、妹のメアリーは、本当の愛を見つけた。
愛とは宮廷の中にはなく、「ただの人」との間に芽生えることもあるのだと悟ったのだ。身分など関係ない、ただ二人が一緒にいられればいい、それを理解したのである。

自らの両親でさえ、自分の身が大事。娘よりも。
一族の身分を懸けられる他の「駒」があれば、それでOKなのである。
そんな宮廷の世界、その異常さに身震いする。

国王の機嫌ひとつで、栄華を極めることもあれば、堕ちるところまで堕ちることもある。
処世術が生まれつき身についた人ばかりが集っているんだろうな。
そんな世界に生まれなくて良かったなぁと言うのが正直な思い。

面白いメロドラマの世界にのめり込みすぎて、まだその世界から抜けきれない。
盛者必衰。奢れるもの久しからずや。
どの国でも同じようなドラマが展開されてきたのだろうし、今このときもドラマが生まれているのかもしれない。

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2009/11/09

ブーリン家の姉妹〈上〉

ブーリン家の姉妹〈上〉
著者:フィリッパ・グレゴリー
訳者:加藤洋子
★★★★☆

カテゴリーは「歴史・海外」としているが、私は歴史全般について疎い方である。自分の好きな時代の本しか読んでこなかったから。
なので、史実がどうとかこうとか、そんなことは気にせず、ただ1つの物語として本書を読んだ。

時は16世紀。場所はイングランド。
王はヘンリー8世。王妃はスペイン王女であったキャサリン。

物語は国王がブーリン家の次女メアリーを見初めたことから始まる。メアリーはまだあどけない少女と言ってもよい女性。一応、結婚はしているが...。
しかし、国王の気持ちに気づいたブーリンの一族が動き始めた。国王にはまだ正式な息子がいない。王妃キャサリンとの間にはメアリー王女(後のメアリー1世)しかいないのだ。
他家へ嫁いだとはいえ、もしもメアリーが国王の寵愛を受け、息子を産めば...。

結婚したばかりの夫と無理に引き離され、悲しみに暮れるメアリーも、国王の前に出たとたん、彼に恋した。そして、ブーリン一族の思惑通り、国王の娘と息子を授かる。

メアリーはキャサリン王妃に仕えており、王妃を尊敬していた。王妃を蹴落としてまで自分の息子を国王にするなどとは考えていなかったのである。そんなメアリーは国王の寵愛を受けたが、国王のただの妾としての身分に終わる。
しかし、メアリーの姉アンは違った。
野心と自尊心のかたまりのようなアン。
目指すのは王妃の座。

現実はどうだったのであろう。
誰も知ることはできないが、こんな会話が交わされていたかも知れないと思うと、楽しくもある。
お昼のメロドラマの如き、愛憎劇と策謀の数々。こそこそと交わされる内緒話。とても人間くさいものばかり。
アンとメアリーの姉妹のやりとりも興味深い。
近い関係にあるからこそのやりとり。
時には優しく思いあい、時には激しく憎みあい。
全てを筋書き通りに運ばなければならない世界の中で、言いたいことが言える相手は、お互い同士だけだったのかもしれない。

しかし、女性はいつの世も、どの国でも、男の出世のための駒なんだな。メアリーのようにただ流れに身を任せる駒もいれば、アンのように自分の意志で未来を切り開く駒もある。
キャサリン王妃、メアリー王女の運命も男任せ。
「駒」とはいえ、人間としての気持ちも尊厳も、それほど無視されて良いものなのだろうか...。

跡継ぎを産めなければ、何の価値もないように扱われる女たち。
もう子供を産めなくなったキャサリン王妃との結婚を無かったことにして、新たにアンと結婚しようとする国王。キャサリン王妃の行く末はいかに!といったところで上巻は終わり。

しかしまぁ、同じ名前の多いこと、多いこと。
ややこしいったら、ありゃしない(苦笑)。
でも各々の特徴をつかめば、なんとか区別が付くようになる。
最初は少し厚く感じられた文庫本だったが、あっという間に読み終えてしまった。
下巻を読み終えるのもそれほど時間を要しないだろう。楽しみだ。

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2009/11/05

相棒 Season1第1話「虚飾の城」

相棒season1(朝日文庫)
相棒 スリム版 シーズン1 DVDセット
★★★☆☆

ドラマ「相棒」のノベライズ。Season1の第1話だ。

亀山刑事がまたへまをやらかした。
身体にダイナマイトを巻いたテロリスト田端に脅され、またしても人質になってしまったのだ。
ま、右京の介入で無事に解決し、田端は逮捕されたのだが、警視総監からお小言をいただいたので、亀山は少々落ち込んでいた。
で、逃げ込んだ場所がデパート。亀山は幼い時分から何かあるとデパートに行く習慣があったらしい。
そこのトイレで、忘れ物を発見。
あわててトイレに駆け込んできた男が忘れていったのだが、その忘れ物がある会社の上層部の首を飛ばしかねない秘密を隠していた。
そして、翌日、その男は死体で発見された...。

政治家の不祥事というと決まり文句がある。
「全て秘書がやりました。私は関与していませんでした。」

この『全て秘書がやりました。』
これが今回のキーワード。

大会社でのクーデター。代議士との癒着。リストラによって監獄のような部署に左遷された男。いろんな人物が関わってきて、誰が犯人なんだか見失いそうになる。
しかしそこは杉下右京。目の付け所が違った。

「ちょっとしたことが気になるんです」
この「ちょっとしたこと」。いつもそれが事件のキーなのだ。

簡単そうでいて、難しい事件だったと思う。
いろんな糸(意図)が絡み合って。

被害者もある意味間接的に殺人を行っている。
彼だけの責任だとは言えないが...。
犯人にも、同情の余地がある。
ただ右京の言った言葉は...。
「あなたが殺意を持ったことことまでは咎めません。しかし、それを実行に移したことは許せない。」

かのエルキュール・ポワロと同じ信条。
それを思い起こしたのはおそらく私だけだろうけれど(笑)。

最初のダイナマイト事件の決着もちゃんとつける。
さすが右京さん。やるねぇ(笑)。

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2009/10/27

トウシューズはピンクだけ


トウシューズはピンクだけ

Amazonで購入
書評/ミステリ・サスペンス

★★★★☆

アメリカの田舎町で起こった老婦人キャロラインの失踪事件。
愛犬も荷物も車も残し、元バレーダンサーだった彼女は、降る雪が溶けるが如く消えてしまったのだ。
それに不審に思ったのが、妊娠6ヶ月の主婦ルーシー。
重いお腹を抱えながら、あちこち動き回る彼女。
けれど、キャロラインの行方は全く手がかりさえ掴めず、時だけが過ぎていく。

そんなこんなしているうちに、金物屋の主、強欲爺さんが殺されてしまう。
第一発見者は、よりにもよって妊娠中のルーシーだった。
そして、ルーシーの友人が犯人として捕まってしまう。

正義感あふれるルーシーとその仲間たち。
ルーシーも探偵としての溢れる好奇心が抑えきれない。

田舎町に立て続けに起きる事件の数々。
無謀とも思えるルーシーたちの大冒険。
最初はのんびりムードで始まった物語が、中盤を過ぎたあたりから、ドキドキハラハラが強くなっていく。終盤へ向けてのスピード感は素晴らしかった。一気に読み進めずにはいられなかったほどだ。

ミステリとしては、まぁまぁといったところだけれど、傲慢で残虐な男に立ち向かうか弱い女性といった構図があちらこちらに散りばめられていたり、仕事と家庭のどちらを選ぶのが幸せなのだろうかとか、女性として考えさせられるところは多くあった。しかし、女性も侮れない。いざとなったら強いものだ。

ルーシーが4人目の子供を授かる最後のシーンもさわやかで、好感を持てる一冊のミステリだった。

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2009/10/23

さまよう刃

さまよう刃

著者:東野圭吾
★★★★★

重い。とにかく重い。
最近の東野作品は、とにかくテーマが重いのだ。

妻を亡くした男の家族は、愛する一人娘のみだった。
その一人娘が、人間として扱われず、ただの肉の塊のように暴行され殺害され、ゴミのように捨てられた。
そのときから、一人の凶暴な殺人者が誕生した。

娘を殺したのは少年たち。
警察に捕まったところで、そう重い刑にはならない。
少年法に守られているとでもいえばいいのか。
それならば、自分の手で、自分たちのしたことを、心の底から後悔させ、あの世へ送ってやりたい。
そう思う被害者の家族・遺族の気持ちもあるだろう。

刑事たちだって人間だ。
被害者の遺族の犯罪も認めるわけにはいかない。
もちろん、少年たちの犯罪も。
だが、彼らに遺族を捕まえることに、心の底から納得している人間がどのくらいいるだろう。

加害者、被害者の遺族、刑事たち。
どの人間の気持ちも、私には「わかる」とは言えない。
ほんの少し、想像できるだけだ。
本当にその立場に立ったものだけが「わかる」と言えるのだろう。

東野氏の作品の中には、過激な性描写の多いものもある。これもその一つだ。
それに嫌悪を感じる読者も中にはいるだろう。
しかし、それなくしては、被害者の父たちの怒りの感情の大きさは表現できなかったのではないかと、今回は思う。

手元に置いてから半年寝かせて読んだ本書は、本当に心を重くする作品だった。
少年法がどうのとか、被害者の遺族の気持ちをもっと裁判に反映させるようにとか、そういった議論になっていくべき話なのかもしれないが、読了したばかりの私には、何も言えない。
何が正しくて、誰がどうすべきだったのか、考えがまとまらないのだ。
ただただ苦しくて、悔しくて、悲しい。
どこに救いを求めるべきだろう。
私はそれを見つけることができない。
少なくとも、今は...。

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2009/10/20

悪いのは私じゃない症候群

悪いのは私じゃない症候群

著者:香山リカ
★★★☆☆

その名の通り「悪いのは私じゃない」という人が増えて来ているという内容の本である。起きた現象が自分の責任ではなく、悪いのは、会社であったり、知人であったり、はたまた前世の自分であったり、という人が増えてきているらしい。
確かにマスコミでも、何か事件が起きると、たいしたことではなくてもすぐに「犯人捜し」が始まる。あおり立てるマスコミ自身が悪いんじゃないの?と思うようなことでも、他にもっと悪い人を探そうとしているように見えるときすらある。

本書は、それをテーマに、こんな事例がある、あんな事例があると、いろんな具体的な事例をたくさん載せているエッセイ集であると感じた。
精神科医の立場としての対処療法のようなものは特に印象に残っていない。
あぁ、こんな事例が発生しているのか...。そういう感想だ。

精神的な病について、特に「うつ病」についても述べられているが、それを「自分の力が足りなくて。自分の心が弱すぎて。」と自分を責める人は少なくなっているという。それより、「自分を向かない職場に配属した会社が悪い」「なにやら脳に傷があってと著名な先生が言っていた」とか、果てには「前世の報いですと占い師に言われたので」という人まで出てきているそうだ。
とにかく、「悪いのは私じゃない」のである。

自分自身を振り返るために読むには、非常にわかりやすい内容で、読むのにもそれほど時間を要しない。
ただ、新型うつ・非定型うつ病を症例にあげられてしまったのは、非定型うつ病だと診断された私にとっては、少々きつく思えた。決して「悪いのは私じゃない」と思っているつもりはないのだが...。

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2009/10/18

楽して成功できる非常識な勉強法


楽して成功できる 非常識な勉強法

Amazonで購入
書評/ビジネス

著者:川島和正
☆☆☆☆☆

本が好き!」から献本いただきました。

「楽して」という勉強法についての本は、本屋さんの棚によく並んでいる。私が惹きつけられたのは「非常識な」という部分だった。
しかし、書かれていたことは決して「楽」ではないし、「非常識」でもなかった。

要は、自分がかなえたい夢を書き出し、その夢の実現可能性を検証し、実際に実現可能なものから順に実現するために必要な情報を、本やインターネット、セミナーなどから得ていきなさいといったものだ。
特徴的な部分があるとすれば、「成功した人を探して、その人からできるだけの成功談を聴きなさい」といったもの。これって、「楽」?
私には決して「楽」なようには思えない。

自分のアレンジは一切加えてはならない、という部分は「非常識な」に合う部分かな。
自分のアレンジを加えると、かえって失敗しやすいというのだ。

よくある自己啓発本で、特に珍しいことも書いていない。
「楽」もできないし、「お金」もかかる勉強法が紹介されているだけだ。

田原総一郎氏が帯で大絶賛したとあるが、本当だろうか?

一番イヤになったのは、冒頭部分の「自分はこんなダメな環境にいたんだよ~」というアピールのしつこさだ。
この部分だけでも、本書を投げ出したくなった。
最後まで読んだだけでも、自分を褒めてあげたい。

あ、そういう意味でなら「非常識」ではある(笑)。

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2009/10/17

ファントム〈下〉

ファントム〈下〉
著者:スーザン・ケイ
訳者:北條元子
★★★★★

何度目かのエリックとの別れを終えた。
何という喪失感。
何度経験しても同じように喪失感を覚える。

下巻は、エリックがペルシャから去り、フランスへ戻るところから始まる。自分の生まれ故郷へと戻るのだ。
そして、今はもう誰も住んでいないだろうと思って訪れた生家には、驚くことに母がまだ住んでいたのだ。

エリックは、自分が出て行ったあと、母は新しい愛を見つけ再婚して、可愛い子供を授かっていると信じていたのだ。それが、たった一人でまだこの家に住んでいたとは...。エリックの想いはどんなものだったのだろう。
しかし、訪ねるのが遅すぎた。
訪ねた日の3日前、母は死んだのだった。

初めて母に触れることが出来る、キスが出来る、そう思って母の亡骸を見たとき、エリックは母が自分に触れるのを嫌がった気持ちがわかった。亡骸は、かつての母のように美しくは無かったのだ。
これで、母との決別を完全に果たしたエリック。
完全に一人で生きていくことができると悟った。

しかし、そこで知った「オペラ座」設計コンテスト!
既に終わったことを知ったエリックの怒りと言ったら!
自分こそがその設計にふさわしいと思っていたのに...。

エリックは諦めなかった。
コンテストで優勝したシャルル・ガルニエに近づき、共同製作することへと話を持って行った。

数々の困難を乗り越えて完成したオペラ座。
その地下室に、やっと自分の最後の居場所を見つけたエリック。
これで、安らかに暮らせるはずだった。
他の人間に顔を見られることもなく、邪魔されることもなく、大好きなオペラは聴き放題。エリックは満足していたはずだ。

しかし、神は冷酷だった。
エリックになおも苦難を与えた。
クリスティーヌだ。
かつて愛して欲しいと願い続けた母によく似た娘。
エリックが認めるほどの美しい声の原石を持つ娘。
彼が心を乱されずにいられようか。

そのあとは、ガストン・ルルーの「オペラ座の怪人」にある通りである。ほとんどは。
苦しいクリスティーヌとエリックとラウルの恋を巡る闘いが始まる。
エリックはファントム(怪人)と呼ばれはしたが、クリスティーヌに対しては最期まで紳士だった。
己を抑えるためにどれだけの忍耐を強いられようとも、紳士であった。

この物語の最後に納得されない読者の方もいらっしゃるだろう。完全なる著者の創作部分だ。
しかし、私はそこにエリックへの救いを見た。

さようなら、エリック。
またページをめくる日まで...。

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2009/10/16

ファントム〈上〉

ファントム〈上〉
著者:スーザン・ケイ
訳者:北條元子
★★★★★

この本と出逢った瞬間を今でも覚えている。
一目、表紙を見たときから、なぜか惹かれた。
手に取り、1ページを見た途端、自分のものにせずにはいられなかった。運命の出逢いだったのかもしれない。
それほどに、私はこの本に惚れている。
というより、この本の主人公エリック(ファントム・オペラ座の怪人)に惚れているのだ。

ガストン・ルルー原作の「オペラ座の怪人」のファントムの生涯を描いたのが本書である。
エリックはなぜオペラ座に潜み、人を怯えさせ、ファントムと呼ばれるに到ったのか。

エリックは、生まれてから一度も人間からの愛を受けずに育った。
母からでさえも。
原因は、その人間とは思えない醜悪な容貌のため。
誕生日のプレゼントに何が欲しいかと母から聞かれ、5歳の彼がこわごわ言い出したのは、「キスして欲しい」だった。息子がやっとの思いで言い出したその言葉から、母は背を向けた。二度とそんなことを言わないようにと彼に向かって叫びながら...。

ただ、彼にも友達はいたのだ。
彼の容貌も気にせず、無邪気に顔をなめてくれる犬のサシャ。
サシャだけは、エリックの心許せる友。

エリックは本当は敬虔なキリスト教徒だった。
それが教義を捨てたのは、天国へ行けるのは人間だけで、動物は行けないと牧師から言われたとき。
ただ一人の友と共に天国で逢うことが出来ない?!
エリックはそれが許せなかった。
そのときから、彼は神を捨て、悪魔に魂を売ったのかもしれない。

醜い容貌を持つ彼の噂は村中を駆け回り、不吉だと暴力をふるうものも出てきた。現にサシャが殺され、自分もナイフで刺されるに至って、自分がいては母の命さえも危ないと悟ったエリックは、わずか8歳で家を出た。母を守るために。
皮肉にもその日は、母がエリックへの真の愛情を自覚したときだった。
あと1日、エリックが旅立つのが遅ければ...。
あと1日、母が悟るのが早ければ...。

それからジプシーに混じって見せ物にされたり、そこを離れひとりでさすらうごとにエリックは、冷たく強く、そしてある部分でもろく弱い青年へと成長していく。

人間全てを憎むに到るだけの理由がある。
エリックは人間から人間として扱われて来なかった。
たまに容貌を気にせずエリックに好意を持ってくれる人間に出逢っても、いつも最悪の結末がやってくる。
それを学び、ますます人間を憎み蔑むようになる。

残忍な殺人も行うエリック。
それでもなお、惹きつけられずにはいられない。
何度、この本を読み返しただろう。
読み返す度に、切なく哀しくなる。
本をそばに置いているだけで、落ち着かなくなるのだ。

著者もエリックを愛していたのだろう。
だから、エリックは読者である私をも非常に惹きつける。

上巻はペルシャで王室にとどまるところで終わる。
傲慢で我が儘で、残忍な后の欲望を満たすためにペルシャに呼ばれたのだ。
生まれつき正邪の区別がつかないエリック。
殺人自体を厭うことはしない。しかし、意味もなく人に苦しみを与えることを、良しとも思わないはずなのだ。
新しい拷問の道具を作れと言われれば、器用な彼は片手間にでも作ってしまう。本当の彼は美しいものが好きなはずなのに。醜く人間を死に導くものなど作りたくないはずなのに。
自分の意に染まぬ残忍な拷問方法を考え出すようにと、后から命を受ける度に、エリックの心は傷ついていった。それをごまかすために、后に与えられた麻薬に身をゆだねるようになっていく。
自分の心の醜い部分をあらわにさせられることに、エリックは耐えられなくなっていったのだ。

下巻ではさらに新たな苦しみを味わう。
あの運命の少女、クリスティーヌとの出逢いが待っている。
そこへ行くまでの旅も決して楽なものではない。

エリックに救いは訪れないのか...。
神を冒涜するエリックには、神も救いを与えないのか。
ただただ、哀しみと切なさが漂う物語である。

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2009/10/12

孤高のメス 第1巻

孤高のメス―外科医当麻鉄彦〈第1巻〉
著者:大鐘稔彦
★★★★☆

医療ものはあまり読まないのだが、これもSNSの友人るるる☆さんにお薦めいただいて読んでみた。

難しい用語が多く出てきて、読みづらいのかなと思っていたのだが、全然そんなことがない。確かに専門用語がたくさん出てはくるが、それを一つ一つ理解しなくても、話の筋はキチンと理解できるし、ストーリーの面白さを邪魔することがないのだ。

なんと言っても、本書の魅力は、主人公の医師・当麻鉄彦。
非の打ち所がない人格者ではあるのだが、人間くささも少々感じさせる、非常に魅力的な人物として描かれている。功名を求めず、ひたすら救いを求める人々のために自らの技術を極めようとしている外科医なのである。

本書のメイン・テーマは、大量吐血して瀕死の状態となった「エホバの証人」の信者の少女が救急で運び込まれ、両親も本人も輸血を拒否しているのだが、この少女をどう救うか、というところだ。
通常ならば、手術不可としてただベッドの上で、息絶えるのを待つというところだが、当麻医師は、なんとか救う方法を考え出す。
その手さばきは、医療に詳しくない私でも、なんて素晴らしいものなんだろうと感動できるものだ。

そのほかにも、やはり医療関係者のドロドロした権力関係についても触れられており、人間関係の動きもまた、興味深いところである。

この「孤高のメス」は、シリーズ化されており、第6巻まで刊行されている。次巻が楽しみだ。

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2009/10/10

幽霊の2/3


幽霊の2/3 (創元推理文庫)

Amazonで購入
書評/ミステリ・サスペンス

著者:ヘレン・マクロイ
★★★★☆

本が好き!」から献本いただきました。

時は1950年代。場所はアメリカ。
ある出版社を営む男の家で、内輪のパーティが催された。
その中で行われたゲーム「幽霊の2/3」。
このゲームは、簡単に言うと、問題を3問だし、1問不正解すると回答者は”幽霊の1/3”になる。そして、3問間違えると、”幽霊の3/3”すなわち”幽霊そのもの”となり、ゲームから抜けるのだ。
そのゲームの最中、回答者となっていた男性作家が、青酸性毒物により死亡する。その名の通り、”幽霊”になったわけだ。

このミステリのトリックは、特に目新しいものではなく、逆に古くさい。しかし、作品の魅力はそんなところにはないのだ。出版業界の力関係から始まり、過去を忘れた作家の正体が少しずつ暴かれていく様など、トリック以外のところに魅力は多い。
探偵役の精神科医が動けば動くほど、昔の隠れていた事実がよみがえり、新しい事実が顔を出し、展開が二転三転する。いったん読み始めると、途中で本を置くのをためらわせるほどに惹きつけられる。

読み返せば見逃した伏線がたくさん綺麗に張られているのだろう。もう一度、最初からページをめくりたい気分だ。

登場人物もみな特徴ある個性の持ち主ばかりなので、途中でこんがらがることもない。その個性こそが、このミステリーを一層面白くしている。

解説者の杉江松恋氏のおっしゃるとおり、このタイトルは非常に美しい。
読了者にしかわからない美しさ。
多くの方に感じていただきたい。

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