014)横山秀夫

2008/10/10

半落ち

半落ち
著者:横山秀夫
★★★☆☆

寺尾聰主演の映画が話題になっていた頃、興味を惹かれた一冊。
読み始めてからは、早かったな。
一気に読み終えた。
ただ、最後はあっけなかったというか、物足りないというか...。

「半落ち」って何だろう?て不思議に思っていたんだけど、刑事仲間の隠語なのかな。
事件の被疑者が全ての容疑を完全に認めている状態を「完落ち」というらしい。
で、中途半端に認めている状態、事件の全てを告白していない状態が「半落ち」。

この主人公「梶聡一郎」は、アルツハイマー症を患った妻を殺したあと自首するのだが、半落ちの状態のまま送検され、裁判を終える。
殺害の事実は素直に認め、その様子もこと細かく語る。
しかし、殺害してから自首するまでの空白の2日間については、遂に最後まで語ろうとしないのだ。

本書は、6つの章に分かれていて、「取り調べた刑事」「検察官」「新聞記者」「弁護士」「裁判官」「刑務官」がそれぞれの章で語り役になっている。
読み進めるうちに、各章で6人が抱くのと同じ気持ちで「この2日間、梶聡一郎はどこで何をしていたのか」が知りたくてたまらなくなっていった。

もちろん最後には、この謎は明らかにされる。
それはそれなりに納得のいく結末ではあった。
「誰かのために生きる」ということについても考えさせられた。
深い内容ではあったと思う。
ただ、読み終えてみると、「謎の2日間」よりも他に主点を置いて読んだ方がいい作品なのかな....という気がした。
結末を知ったあとでも、2度、3度と読み返してみたくなる本だ。
家族が要介護状態になった場合の対応、警察署・検察所・裁判所内の権力に絡む摩擦や矛盾など、そちらの方に興味を惹かれた1冊である。

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