よい獣医さんはどこにいる
よい獣医さんはどこにいる
著者:坂本徹也
★★★★★
よい獣医さんを選ぶには、どうしたらいいか。
動物と一緒に暮らしてる人間にとっては、とても大きな問題。
大事な家族の命を預けることになるかもしれないわけだから、慎重に選ばなければならない。
だけど、どうやって選択すればいいのか、何を基準に「良い、悪い」を判断すればいいのか、わかりにくいと思わないだろうか。
そう思っていたときに、この本に出逢った。
獣医療の現場では、様々な問題が発生しているようだ。
本当に動物を愛し懸命に努力を重ねていらっしゃる獣医さんがいる一方で、モラルの低下した、いわゆる『儲け主義』に走る獣医も少なくはない。
どうして、このような獣医が存在しうるのだろうか。
犬や猫などの小動物を診る獣医さんの歴史というのは、まだ浅いものだそう。
40年前には、ペットの獣医さんは存在しなかった。
主に公衆衛生、牛肉や卵などの衛生管理などが獣医さんの使命だったのだ。
大学におけるカリキュラムも、いまだにこちらが中心であり、小動物の臨床について、あまり学ぶことができないまま、「獣医」として世に送り出されている。
それでも、卒業してすぐに、どこかの動物病院の助手として勉強することのできる若い獣医さんは、まだいいほうだろう。
問題なのは、長い間、畜産関係の仕事に就いていて、定年になったから動物病院でもやるか、という軽い気持ちで開業する獣医がいるということ。
小動物についての経験も知識も少ないはずなのに、免許さえ持っていれば「獣医」として開業することができる。
そして、何か問題を起こしたからといって、獣医師免許が取り消されることもない。
法律上、ペットは「モノ」なのだから、医療ミスで殺してしまっても器物損壊の罪にしか問われない。
恐ろしいことだ。
獣医には、いろんな人がいる。
儲けは度外視して、動物と飼い主が幸せに暮らせるためにと一生懸命に頑張っていらっしゃる獣医さんもいる。
危険だけど安い薬を使い、道具も使い回して、原価を下げ、「うちは治療費が安いですよ」という獣医もいる。
安全な薬を使い、1匹1匹に対して充分に誠意を持って治療にあたった結果、他より治療費が高くなってしまう獣医さんもいるだろう。
日々進歩していく医療技術について何の勉強もせず、ただ思いつきで診療し、ミスをミスと認めず威張り散らすだけの獣医もいるようだ。
よい獣医さんはどこにいるのか。
それを見つけるには、飼い主がもっと賢くなることが必要なのだろう。
医者にまかせっきりにするのではなく、自分でも勉強することが必要なのだと思う。
獣医さんに積極的に質問をし、情報を得ることができるだけの知識を身につけること。
そして、病気になって慌てて病院を探すのではなく、健康なうちから情報を集めることも大切なこと。
大切な家族の命を守るのは、獣医ではない。
いつもそばにいてあげられる飼い主自身なのだ。
私も3匹の犬を寿命ではなく病気で亡くした。
私自身が賢い飼い主であったならば、今も元気に楽しく暮らせていただろう。
本当に悔しくて、申し訳なくて、無念でならない。
この3匹の死を無駄にしないためにも、賢い飼い主にならなければいけない。
よい飼い主になるために、この本はとても役に立つ。
今の獣医療の問題点について、少しでも知っておくことは、絶対に無駄にはならないはず。
獣医の現場はどんな方向へ向かっているのか、どういうふうに獣医さんと接すればよいのか、そのヒントが得られる1冊だ。
ひとつ、どうしても気になるのは、獣医を育てる現場で、実習の名のもとに故意に傷つけられ、命を落としている動物がいるということ。
骨折の実習のために、健康な犬の足をわざと折ってしまう、そんなことが本当に行われているのだろうか。
そんなことをしなければ、学べないものなのか。
病院へ行けば、実際の治療の現場も見学することができるだろう。
欧米では、イミテーションやコンピュータを用いた実習が行われているそうだ。
それじゃ駄目なのか。
医学の進歩のためには、動物の命を犠牲にすることも必要な時もあるだろう。
ただ、この実習については、無益ではないかと思えて仕方がなかった。
これは、ただの感傷にしか過ぎないのだろうか...。
最後に、本書の冒頭部分に書かれていた言葉を紹介したい。
選択を誤らなければ、あと数ヶ月あるいは数年、
飼い主との幸せな日々を過ごせたはずのペットたちの魂に捧ぐ。
誤った選択のために、不幸な死を迎える動物たちが減りますように...。
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