青列車の秘密
青列車の秘密
著者:アガサ・クリスティ
訳者:青木久恵
解説:北上次郎
★★☆☆☆
このクリスティー文庫で新訳になった作品は、なんだか読みやすくなった気がする。
より「日本語」らしくなったというか。
その分、原書がもつ言葉の雰囲気を上手く伝えられていない部分もあるのかもしれないけれど。
そのあたりは、どうなのかな。
なにぶん原書を読んでいない(読めるだけの語学力もない)ので、よくわからない。
しかし、読みやすくなったことは事実。
このシリーズ以前のクリスティ作品は、言い回しが難解で、とっつきにくい印象があったから(もちろん、だからといって優れていなかったわけではない)。
初めてこの作品を読んだのは、もう20年近く前で、本当に久しぶりに読み返した。
真相は何となく覚えていたが、冒頭の宝石を巡る取引についてはすっかり忘れてしまっていた。
本筋とどのように絡んでくるのか、それを楽しみに読み進めた。
最後の最後で、ちゃんと全てが繋がって、無駄に登場する人物がいないというところは、さすがだ。
読み終えた直後に、また最初のページをめくりたくなってしまった。
それでもやはり、私の好みの作品ではないな。
面白くないわけではないのだが、犯人に魅力を感じない。
だけど、非常に魅力的な女性が登場している。
クリスティは、人物描写が上手い。
殺害の直前に被害者から相談を受けたキャサリン・グレー。
滅多に感情を表には出さないけれど、決して冷たいわけではない。
自分の進むべき道を常に知っている心の強い女性という印象を受けた。
ヘイスティングズの居ないこの作品では、彼女がその代わりになっているよう。
ポアロの良き相棒といったところか。
そのキャサリン・グレーの住んでいた村というのが、あの「セント・メアリ・ミード村」。
そう、ミス・マープルの本拠地だ。
こんなところで登場していたとは、初めて気づいた。
気になるのは、骨董商のパポポラス父娘。
この話から17年前にポアロが解決した事件と関わりがあるらしいのだ。
その事件について、結構細かなところまで語られているのだが、これはクリスティの他の作品になっている事件なのだろうか?
クリスティー文庫を読み進めるうちに、どこかでまたこの父娘に出逢うかもしれない。
でも、この作品の中で犯人についても触れられているから、出逢うことはないかな。
まさか作者自身でネタバレはしないと思うが...。
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