シンデレラ迷宮
シンデレラ迷宮
著者:氷室冴子
★★★★★
目が覚めるといきなり変な世界に迷い込んだ利根(リネ)。
そして、周りにいたのは、踊り子のオディール、暁の国の姫君ゼランディーヌ、ソーンフィールドの奥方、そして王妃。
やっかいなことにリネには、自分が「リネ」であるということ以外に記憶が全くなかった。
心優しい4人の女性は、「では、記憶が戻るまで交代で面倒を見ることにしましょう」と決めてしまう。
リネが最初に向かったのは王妃のお城。
実は王妃の継子に当たる姫が熱を出していたところをわざわざ抜け出してやってきてくれたのだという。
急いで城に戻ると、そこには国王の姿が。
「もう少し、姫に優しくできないか」と国王は王妃を責める。
王妃は姫のことが大好きで、とてもとても大事に思っているのに、何故か城の中の全員から憎まれる存在になってしまっている。そのことに憤慨するリネ。しかし、もっと大切なことを聞いてしまった。
姫の名は「白雪姫」だというのだ!
ということは、王妃=いじわるな継母ということになってしまうのだが、目の前の王妃はそうは見えない。
何がみんなを誤解させているのか、何故王妃は味方もないまま独り寂しく暮らさなければならないのか...。
その謎が解けたとたん、リネの記憶の一部がよみがえる。
それは、とても寂しくて苦しい記憶だった。思い出したくなくて、心の奥底に沈めていた記憶だった。
その後、オディール、暁の国、ソーンフィールドと移っていくリネだが、行く先々で眠らせていた記憶がよみがえっていった。
この不思議な世界はリネが作った世界。
誰も幸せになれないと、幸せを否定した世界。
しかし、それではダメなのだと気づいて、最後にリネは一筋の明かりに向かって進んでいくのだ。
初読は....、いつだっただろう。
中学生の頃だから、二十数年前か。
氷室冴子氏の、なぎさくんシリーズも、ジャパネスクシリーズもいいけれど、私はやっぱり一番シンデレラ迷宮のシリーズが好きかもしれない。
いろんな悲しみ、寂しさを背負った女の子たちが、なんとかならないかと努力していくお話。
みんなが知っている童話の主人公...だけではなく、敵役にスポットをあてて、知っているはずの童話を初めて読むような気分にさせてくれる。
氷室冴子氏の作品に出てくる女の子は、一見か弱そうでも、実は強い!
いろんな小さなことで傷つくけれど、最後にはそれを乗り越えようと頑張るんだ。
コバルト・シリーズって、中高生向けの小説だよねぇ。
それが、今読んでみても満足できるってスゴイと思う。
氷室冴子、バンザイ!!
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