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2009/06/26

ナ・バ・テア


ナ・バ・テア (中公文庫)

Amazonで購入
書評/SF&ファンタジー

★★★★☆

「スカイ・クロラ」シリーズの2冊目。
ただし、このシリーズを時系列に並べたときには、一番最初にくるべきなのは本書だ。


episode 1:gride

確かにこれがこのシリーズの初めなんだ。
「スカイ・クロラ」での「僕」である「カンナミ」の上司であった「クサナギ」が「僕」として登場している。

「スカイ・クロラ」では、謎の多い人物であった「クサナギ」。
暗い過去を一人で背負っているような人物であった。
その理由が明らかにされていくのか、それはまだわからない。

ただ、2人の「僕」は似ている。
それも2人を関連づけて考えさせるファクターのひとつかも。
2人は、ただの上司と部下ではない。
それは前作を読んでそう感じた。
過去に何かがあったんだ。
それは一体なんだったのだろう。

ますます面白くなってきた。

episode 2:loop

新しい地へ赴任してからの初めての戦いらしい戦い。
それに乗り慣れた散香(戦闘機の機種名)で戦える。
クサナギは珍しく心が浮揚していたらしい。

クサナギは、地上にいると何だか苦しそうだな。まるで水からあがったペンギンが、ヨチヨチと歩きづらそうにしているように。水の中では、スイスイ泳げるのにね。
クサナギもそう。空に居るときはスイスイ思い通りに動ける。地上に帰ると、歩くことさえ、いや呼吸することさえ苦しそうだ。

戦闘機と一体になって、思うように動き回っているクサナギは、楽しそう。たぶん、敵に撃たれて墜ちたとしても、それを楽しんでいるような気がする。

整備士の笹倉以外、同じ基地の仲間たちと不自然なほど距離を取るクサナギ。「人間」が嫌いなのかな。自分も含めて。自分を完結させたいのにどうしたらいいのかわからない。そんな風に見えて仕方がない。

こんなクサナギを変えてしまう何かが今後起きるはずだ。
一体何がクサナギを変えてしまうのだろう。楽しみだ。

episode 3:stall

初めて「クリタ」の名が出た。
「スカイ・クロラ」で「カンナミ」の前任者の名だ。
ここでクサナギとクリタが出逢うのか...。

クサナギの疑問。
自分たちは普通じゃないのか?
クサナギいわく、自分たちは普通の大人にはなれないけれど、普通の子供であると。

「普通」があるから「普通じゃないもの」ができる。
じゃ、「普通」ってなんなんだってことになる。

自分たちが作り出した
「大人にならない子供たち」
「戦うために生み出した子供たち」
それを自分たちとは違うものとして特別視する。
考えてみれば、勝手な話だ。

チームの一人が戦いで死んでしまう。
このことが思いの外、クサナギに大きな影響を与えたようだ。
いつも冷静な、というより投げやりなクサナギが動揺している。
その結果...。

なるほど、そういうことだったのか。
それともこれから先の展開でそうなるのか。

クリタとクサナギとの関係も気になる。
何があった?
何が起こった?
知りたい。

じゃ、次の章へ進んでみるしかないか。

episode 4:turn & epilogue

クサナギにとって、そしてその上司であるティーチャにとって、大きなターニングポイントだったのかもしれない出来事が起きた。
いや、すでに起きていた。
ただそれが発覚しただけ。それを確認しただけ。

「キルドレ」
戦うためだけに生み出された「子供」。大人にならない、老化しない、いつまでも「子供」。
それを興味深く、物珍しげに観る輩が居る。無神経な質問を「上品ぶって」投げかける輩が居る。
それに腹を立てるほど、クサナギは「子供」ではなかった。

一体なんのために戦っているのだろう。
何故、自然に生まれた子供ではいけなかったのだろう。何故、人工的に作り出されたモノではなくてはならなかったのだろう。

空にしか逃げ場所がない子供を作ってしまう。矛盾を抱えた子供を増やしてしまう。
それは大人たちのエゴではないのか。

矛盾を抱えたまま生きている子供は、きっと正常な心のバランスがとれなくなり、やがて自滅していくかもしれない。

全てが、クレイジーな世界だ。

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