さまよう刃
著者:東野圭吾
★★★★★
重い。とにかく重い。
最近の東野作品は、とにかくテーマが重いのだ。
妻を亡くした男の家族は、愛する一人娘のみだった。
その一人娘が、人間として扱われず、ただの肉の塊のように暴行され殺害され、ゴミのように捨てられた。
そのときから、一人の凶暴な殺人者が誕生した。
娘を殺したのは少年たち。
警察に捕まったところで、そう重い刑にはならない。
少年法に守られているとでもいえばいいのか。
それならば、自分の手で、自分たちのしたことを、心の底から後悔させ、あの世へ送ってやりたい。
そう思う被害者の家族・遺族の気持ちもあるだろう。
刑事たちだって人間だ。
被害者の遺族の犯罪も認めるわけにはいかない。
もちろん、少年たちの犯罪も。
だが、彼らに遺族を捕まえることに、心の底から納得している人間がどのくらいいるだろう。
加害者、被害者の遺族、刑事たち。
どの人間の気持ちも、私には「わかる」とは言えない。
ほんの少し、想像できるだけだ。
本当にその立場に立ったものだけが「わかる」と言えるのだろう。
東野氏の作品の中には、過激な性描写の多いものもある。これもその一つだ。
それに嫌悪を感じる読者も中にはいるだろう。
しかし、それなくしては、被害者の父たちの怒りの感情の大きさは表現できなかったのではないかと、今回は思う。
手元に置いてから半年寝かせて読んだ本書は、本当に心を重くする作品だった。
少年法がどうのとか、被害者の遺族の気持ちをもっと裁判に反映させるようにとか、そういった議論になっていくべき話なのかもしれないが、読了したばかりの私には、何も言えない。
何が正しくて、誰がどうすべきだったのか、考えがまとまらないのだ。
ただただ苦しくて、悔しくて、悲しい。
どこに救いを求めるべきだろう。
私はそれを見つけることができない。
少なくとも、今は...。
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