税金を払う人使う人―加藤寛・中村うさぎの激辛問答
著者:加藤寛、中村うさぎ
★★★★★
税務に携わる仕事に就いて、十数年が経つ。それだけに、「税」とつくものには多少は他の人よりも興味を持っていると思う(もともと経済音痴ではあるが...)。
税金というと、みな「盗られる」という。それを私は「納める」のですよと言ってきた。
「盗られる」も「納める」も、その金額に見合った何かを求めていない言葉だ。
税金というのは、行政サービスを国民に提供するために集めているお金である。よって、その額に見合った対価を納税者は求めるべきなのだと、本書を読んでそう思った。
自分が支払った税金が、どのように運用され、活用されているのか、それに対しての国民の意識が、以前よりは高まってきた昨今。「税金」とは本来なんなのか、どのように集められ、使われるべきなのか、基礎の部分をとてもわかりやすく説明してくれる本である。
税金の素人の代表である「中村うさぎ」氏に、税金の玄人「加藤寛(元政府税調会長)」氏が、優しく丁寧に「税金」について解説している本書。
私も税金については半分素人、半分玄人である(半分以上「素人」かもしれないが(汗))。それでも、新しい見方を教わった気分である。
「税金」の基礎知識のほかに、現在の日本財政の危機的状況、それをどのように立て直していくべきなのかというところまで、本当に易しい言葉で説明されている。
「税法」というのは、非常にわかりにくい条文ばかりである。長ったらしい条文の中にカッコがあり、その中にまたカッコがあり、その中にまた...というのが続いて、最後に述語にたどり着く。述語にたどり着いた頃には、主語は何だったんだっけ?と、もう一回最初っから読み直さなければならない。
また、本法で決められたことが、附則では全く違ったことになっていたり、規則ではまたおかしなことをいっていたり、本当に難解。
国民にカラクリをばらしたくないために、わざと難しくしているのではないかと思うくらいだ。
難しいことを難しく説明するのは、簡単なこと。誰にでもできる。
難しいことを易しく説明することが大切なのである。
法律を作るのは結構だが、その内容を国民に易しく伝えてほしいと思う。
税金の無駄遣いがマスコミで報道されるたびに、国民のみなさんから強い風当たりを受けるのは、現場で働く税務職員なのである。悪いことをしたり、無駄遣いをしたりしている人たちではない。
税務職員も納税者の一人。納める苦労、徴収する苦労を知っているだけに、ムダに税金が使われるのを見ているのは、本当に腹が立つ。
しかし、官僚はともかく、法律を作る機関である立法府の議員たちを選出しているのは、主権を持っている「国民」なのだ。税金の集め方、使い方について、意見を反映させることのできる行為が「選挙」なのである。
国会議員だけではなく、地方自治体の議員についても同じことが言える。
一般の公務員は、立法府で作成された法律等に従って、業務を行っていく。
税金の徴収に訪れた職員に意見(文句?)を言う前に考えて欲しい。法律を作ったのは、皆さんが選んだ議員で構成される議会なのだということを。「選挙(参政権)」という貴重な権利をムダにしないで欲しい。
自分たちの貴重な「税金」を安心して任せられる人を、選ぶ目を持たなければならない。
この本は2001年に発行されたものであるので、多少現状とは違う部分があるが、それでも基礎を学ぶのに不足のない本である。
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