★★★☆☆

2009/11/18

相棒 Season1第3話「亀山薫の憂鬱な日々」

相棒season1(朝日文庫)
相棒 スリム版 シーズン1 DVDセット
脚本:輿水泰弘ほか
ノベライズ:碇卯人
★★★☆☆

特命係の2人は、手分けして大量の下着を持ち主の女性宅へ配って歩いていた。逮捕された下着泥棒の供述の裏付けである。しかし、盗んだ先を一軒一軒覚えているとは素晴らしい記憶力だ。
亀山はうんざりしていたが、右京も同じように女性ものの下着を手に女性の前で同じことをしているのだと思うと、可笑しさに気が紛れた。
それまで胡散臭がられながらも順調に返却してきたのに、最後の1枚になって「私のではありません!」と受け取りを拒否されてしまい、その1枚を手に、とぼとぼと署に戻ったのだ。
それが、ある警察署の上部をも揺るがす大事件(殺人事件と言ってもよい)に繋がるとは、亀山にもさすがの右京にも想像できなかっただろう。

上層部はトカゲの尻尾切りですまそうとする。
そんなんだから、組織は腐っていく。
明らかにしても誰も救われない。しかし明らかにしてしまえば皆が傷つく。それでも真実は真実として受け止めなければならない。それが右京の変わらぬ姿勢だ。
そんな右京に、まだ少し違和感を覚えてしまう亀山。
頑張れ!
それじゃ、立派な「相棒」になれないぞ!

この第3話にはもう一つ事件が。

麻薬取り締まりのお手伝いをしていた。
さぁ、今だ!捕まえるぞというときに捜査1課に乗り込まれた。なんでも近くで殺人事件が起きたらしい。
おかげで麻薬の売人が逃げてしまった。
捜査1課を恨めしそうに見ながら、逃げた売人を追う捜査2課。その中には亀山と右京もいた。
しかし、右京は急ぐことなく、近くの寄席で落語を観ようと言い出す。亀山にはその意図がわからない。
あとで聞いてなるほどと頷くことになるのだが、相変わらず右京の思考回路はどれだけの早さで動いているのだか不思議である。
しかし、ここから殺人事件解決の紐が解けていくとは...。

1話で2つの事件。
ちょっとお得感のある第3話だった。
(ドラマでは、2話になるものが1つにまとめられています。)

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2009/11/05

相棒 Season1第1話「虚飾の城」

相棒season1(朝日文庫)
相棒 スリム版 シーズン1 DVDセット
★★★☆☆

ドラマ「相棒」のノベライズ。Season1の第1話だ。

亀山刑事がまたへまをやらかした。
身体にダイナマイトを巻いたテロリスト田端に脅され、またしても人質になってしまったのだ。
ま、右京の介入で無事に解決し、田端は逮捕されたのだが、警視総監からお小言をいただいたので、亀山は少々落ち込んでいた。
で、逃げ込んだ場所がデパート。亀山は幼い時分から何かあるとデパートに行く習慣があったらしい。
そこのトイレで、忘れ物を発見。
あわててトイレに駆け込んできた男が忘れていったのだが、その忘れ物がある会社の上層部の首を飛ばしかねない秘密を隠していた。
そして、翌日、その男は死体で発見された...。

政治家の不祥事というと決まり文句がある。
「全て秘書がやりました。私は関与していませんでした。」

この『全て秘書がやりました。』
これが今回のキーワード。

大会社でのクーデター。代議士との癒着。リストラによって監獄のような部署に左遷された男。いろんな人物が関わってきて、誰が犯人なんだか見失いそうになる。
しかしそこは杉下右京。目の付け所が違った。

「ちょっとしたことが気になるんです」
この「ちょっとしたこと」。いつもそれが事件のキーなのだ。

簡単そうでいて、難しい事件だったと思う。
いろんな糸(意図)が絡み合って。

被害者もある意味間接的に殺人を行っている。
彼だけの責任だとは言えないが...。
犯人にも、同情の余地がある。
ただ右京の言った言葉は...。
「あなたが殺意を持ったことことまでは咎めません。しかし、それを実行に移したことは許せない。」

かのエルキュール・ポワロと同じ信条。
それを思い起こしたのはおそらく私だけだろうけれど(笑)。

最初のダイナマイト事件の決着もちゃんとつける。
さすが右京さん。やるねぇ(笑)。

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2009/10/20

悪いのは私じゃない症候群

悪いのは私じゃない症候群

著者:香山リカ
★★★☆☆

その名の通り「悪いのは私じゃない」という人が増えて来ているという内容の本である。起きた現象が自分の責任ではなく、悪いのは、会社であったり、知人であったり、はたまた前世の自分であったり、という人が増えてきているらしい。
確かにマスコミでも、何か事件が起きると、たいしたことではなくてもすぐに「犯人捜し」が始まる。あおり立てるマスコミ自身が悪いんじゃないの?と思うようなことでも、他にもっと悪い人を探そうとしているように見えるときすらある。

本書は、それをテーマに、こんな事例がある、あんな事例があると、いろんな具体的な事例をたくさん載せているエッセイ集であると感じた。
精神科医の立場としての対処療法のようなものは特に印象に残っていない。
あぁ、こんな事例が発生しているのか...。そういう感想だ。

精神的な病について、特に「うつ病」についても述べられているが、それを「自分の力が足りなくて。自分の心が弱すぎて。」と自分を責める人は少なくなっているという。それより、「自分を向かない職場に配属した会社が悪い」「なにやら脳に傷があってと著名な先生が言っていた」とか、果てには「前世の報いですと占い師に言われたので」という人まで出てきているそうだ。
とにかく、「悪いのは私じゃない」のである。

自分自身を振り返るために読むには、非常にわかりやすい内容で、読むのにもそれほど時間を要しない。
ただ、新型うつ・非定型うつ病を症例にあげられてしまったのは、非定型うつ病だと診断された私にとっては、少々きつく思えた。決して「悪いのは私じゃない」と思っているつもりはないのだが...。

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2009/10/06

脳内出血

脳内出血
著者:霧村悠康
★★★☆☆

参加しているSNSの友人に薦められて読んでみた、初めての霧村氏の作品である。
まず、表紙裏から概要を引用。

**********
東京近郊のホテルで女性の変死体が発見されたが、身元に関する手がかりは何ひとつ出てこない。
同じ頃、都内のホテルで開催された日本代謝病遺伝子学会では、国立O大学大学院に所属する28歳の医師が注目を集めていた。世界最高峰の科学誌に若くして論文が掲載されたのだ。
ところが、その論文にねつ造疑惑が持ち上がる。
現役医師だから書ける衝撃の医療ミステリー
**********

さて、ホテルで変死体となっていた女性は、全裸で、死因は脳内出血だという。しかし、その首には女性の細いベルトが巻き付けられ、死後に首を絞められた痕があった。
まず、この点に惹きつけられた。
脳内出血で死んだ人間の首をさらに絞める。
この行動は、何を意味するのか。
そして、女性の身元を現す唯一の手がかりとなるメモ。

女性の身元を判明するまでに2ヶ月というのは、かなりの時間を要したものだ。メモの解読も、そんなに難しくないと思うが...。そのあたりに少々の疑問は残るものの、全体的には面白かった。
犯人を見つけるのは、それほど難しくはなかった。相変わらず勘に頼ったものではあるが。死亡後の絞殺というのも、真相を知れば「なぁんだ...」といった感じだ。
しかし、医療現場、というより大学病院の研究職に携わる医師たちの人間くささは、読んでいて飽きなかった。あくまでも自己保身に走るヤツというのは、どこの世界にも居るものだ。
さて、捏造疑惑をかけられた研究員。
疑惑を突きつけられても持論を展開する。
危うく論破させられそうになる理論ではあるが、間違っていることはハッキリしている。ハッキリしていると思いたい。今の研究者たちには、そのような人たちがいないことを祈る。

犯人が判明した今、もう一度読み返して、心の底からこのミステリーに納得したい気分である。
殺人事件よりも面白い何かが、この作品には隠れている気がする。
作者によるイタズラっぽいトリックも、再読したい一因だ。

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2009/09/21

職場のうつ-復職のための実践ガイド

職場のうつ―復職のための実践ガイド 本人・家族・会社の成功体験
AERA Mook AERA LIFE
★★★☆☆

今までうつに関する本は結構読んできたが、これまで選んだ本はみな「うつとは何か」とか「うつにならないためには」みたいな本が多かった気がする。
これからは、復職に向けて、その手助けになる本を選んでいこうと思って購入したうちの一冊がこの本である。

中身は「本人編」「家族編」「職場編」に分かれており、それぞれ実際に経験した方の言葉をもとに書かれている。本は薄いが、中身は意外に濃く、多様なケースが収録されているため、参考になる部分、反省する部分というのは多々あった。
私は「本人編」を中心に読んでいった訳だが、再発しないための治療法、一人デイケアの方法などが載っており、非常に参考になると思う。

これから、他の本も読みつつ、少し甘えている今の自分がとるべき道を考え直したいと思う。

しかし、職場でも、「100%治ったのだから復職した」という認識を持っているところが多数ある。復職はゴールではなく、新たなスタートだということを、もっといろんな方に認知していただきたい。
休職前の最悪と思われた時期より、復職後の方が辛いときだってある。そのあたりをサポートできるような職場が増えていってほしいものだと思う。

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2009/09/14

会いたかった人-短篇セレクション

会いたかった人―短篇セレクション サイコ・サスペンス篇〈1〉
著者:小池真理子
★★★☆☆

表題作「会いたかった人」と「倒錯の庭」「災厄の犬」の3篇が収録された短編集。
前に読んだ「贅肉―短篇セレクション サイコ・サスペンス篇〈2〉」が今ひとつだったので、今回はあまり期待しないで読み始めた。
それが功を奏したのか、意外に楽しく読むことが出来た。

「会いたかった人」は、才色兼備という言葉がピッタリな女性、諸井小夜子がテレビ出演したところから始まる。彼女は大学の助教授で心理学者。夫と一人の女の子、そして姑という4人家族で幸せに暮らしている。
テレビで「思い出に残る友人は?」と聞かれ、ある友人の名を挙げる。結城良美だ。高校生の頃、成績は二人でトップを争っていた。そうでありながらも似たもの同士というのか、引き合うものがあったのだろう、親友となって将来の夢を語り合った仲だった。良美の転校などがあり、お互いの消息が不明になっていたのだが、このテレビ出演で語ったことによって、本人から連絡が入ったのだ。
良美へ電話をかけ、会う約束をしたが、そこで少し違和感を覚える小夜子。実際に会う約束をして、25年ぶりに会った良美は、無理に探せば面影があるかもしれないが、全くの別人といってもいいような容姿だった。しかし、良美が語る昔話は全部本物だったのだ。良美だと思うしかない。
その後、別のルートから良美は既に白血病で亡くなったという情報が小夜子の元に届く。
では、あの日に出会った「良美」は誰だったのか...。
途中で最後のオチは予測できるものの、素直に読み終えることが出来た。著者は人物描写に優れていると思う。良美の異様さがストレートに伝わってきた。小夜子の感情がリアルに胸に響き、読み進める度に怖さが増していく。読み応えのある作品である。

「倒錯の庭」は、3篇中、一番異様さが際だった作品だと思う。
夫との離婚を決めた女教師である小嶋るい子は、精神的に疲れていたこともあり、都会の学校から田舎の学校へと転勤する。そこで、知り合いの別荘である一軒家に一人で暮らし始める。
ある日、庭の手入れを頼もうと電話した造園屋から、天野竹彦という男がよこされてきた。無口で、どこか独特の雰囲気を持つ男だった。
その後、二人は一緒に夕食を囲むようになる。特に好きだの何だのと言った訳でもなく言われたわけでもない。自然と何となく時々、取れたてのキノコなどを持って竹彦がるい子のもとにやってくるのだ。
るい子は、恋愛感情を竹彦に持つが、竹彦の気持ちは全くわからない。40近い自分に20代の男が惚れるわけがないと自分を制するが、るい子の気持ちは強くなるばかりである。
そんな中、不思議な事件が多発する。るい子が竹彦に、無くなればいいのにと言った銅像が壊されたり、火事で燃えてしまえばいいと言った放送室が火事になったり、言ったことが現実に起こるようになるのである。
そしてある日、夫が急に彼女を訪ねてきて、復縁話を持ち出す。るい子は断るが、しかし...。
さて、不思議な存在なのは竹彦である。何が目的なのか、何をしたいのか。それがわからないため、余計にスリルを感じる。るい子に対する竹彦の感情は何なのだろうか。
素直に怖さを楽しめる作品だと思う。

最後の収録作品は「災厄の犬」。
犬好きであったはずの男性が、家族が拾ってきた犬にどうしても不気味さを感じてしまう物語。
妻と娘たちは、この犬に対して愛情たっぷりに接することが出来るが、彼にはそれが出来ない。
偶然か必然か、この犬が来てから、彼にいろいろな災いが起きることとなる。仕事を干されそうになったり、友人から紹介されていた転職先への就職がボツになったり、彼に好意的だった妻の母が亡くなったりと...。
彼は犬を捨てることに決めた。妻と娘たちがいないうちに。
帰ってきた妻はすぐに彼が犬を捨てたのだと気づく。そして、その日のうちに娘たちを連れて家を出て行くのである。
その数日後、妻から家に戻りますと電話が入った。ホッとする彼に、彼女が話した信じられない事実とは...。
この物語は多少つまらなかったかな。大の犬好きだった彼が毛嫌いする犬と彼の感情描写が冗長すぎるような気がした。
ストーリー自体も、よくわからない。最後もオチらしいオチも感じられなかった。前2作が面白かっただけに、残念である。

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2009/08/22

風の歌を聴け

風の歌を聴け
著者:村上春樹
★★★☆☆

申し訳ない。まだ途中までしか読んでないが、これ以上読み進められるかどうかわからないので、途中経過だが記事をUPすることにした。

村上春樹氏の作品を読んだことがなく、どれから読んだらいいかと聞いてみたところ、デビュー作である本書を薦められた。なるほど。デビュー作からデビューするのがいいのかなというところだ。

さて、読み始めた。
そして思った。
彼の小説は「ビックリ箱」だ。
飛び出してくる言葉を、素直に飲み込んで消化していく人は、彼のファンになる。
飛び出してくる言葉を、いやちょっと待てと口の前で捕まえて、なんだこれはと眺めてしまう人は、恐らく彼の小説の良さがわからない人になる。

文章のリズムはよいので、スッと読み進めていける方は「ハルキスト」となる。
一つ一つの文章に、意味づけをしようとする方は「ハルキスト」になれない。

恐らく、私は後者だ。
ハルキストにはなれない...。
薦めてくださった方には申し訳ないが、なれないと思う。
それでも、もう1,2冊くらい読んでみようかなとも思う。
それでダメなら諦めよう、ハルキストへの道を。

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2009/08/18

何か文句があるかしら?


何か文句があるかしら

  • マーガレット・デュマス/島村 浩子 訳
  • 東京創元社
  • 1302円
Amazonで購入
書評/ミステリ・サスペンス

★★★☆☆

本が好き!」から献本いただきました。

まずは、表紙裏のコメントをご紹介。

*************
演劇修行で訪れたロンドンで電撃結婚したチャーリー。愛しい旦那様のジャックと、故郷サンフランシスコに帰還した彼女をホテルのスイートで出迎えたのは、身元不明の全裸死体だった。さらに親戚やみずからの運営する劇団にも災難が襲うにいたり、チャーリーは素人探偵として活動を始める。だが、旦那様にもなにやら秘密があることを知って.....。セレブな新婚夫婦の華麗なる?活躍。
*************

さて、感想は。。。
このミステリ。とにかく冒頭部分から、ビューティホーでワンダホーでドリーミンな、アメリカ度200%のノリで始まる。あまりにビューティホーでワンダホーなものだから、その世界に入り込むのに多少時間を要し、冒頭部分の読書スピードは若干遅かった。
なんてったって、相づち代わりに”オーケイ”が使われるのだ。こちらも”ア~ハ~ン”と返さなきゃいけないかと思うような雰囲気なのである。
ま、慣れてしまえばこっちのもの。最初さえ乗り切ればそれこそ”オーケイ”なのである。

そんなビューティホーでワンダホーなミステリだが、事件はビューティホーでワンダホー(しつこい?^^;)でもなんでもなくて、浴槽に浮かぶ正体不明の女性の全裸死体から始まる。主人公チャーリーはもちろんのこと、旦那様のジャックも知らない女性らしい。

そこからチャーリーの従姉妹の誘拐やらなんやら、事件が起きるが、機転の良さ・行動力・好奇心満載のチャーリー。黙ってみていることなんてしない。ジャックをヒヤヒヤさせながらも事件解決に動き出す。

読みやすいといえば読みやすいミステリだった。少し冗長だなと感じさせるところもあるけれど。
ただ、私には合わなかったようだ。
読むスピードが遅かったのは単にアメリカ度200%の雰囲気に圧倒されていただけではなく、物語の世界に最後まで私が入り込めなかったのだ。
基本的に私が冒険ミステリと性が合わないというだけのことだろう。
残念だ。

登場人物は魅力的。
ストーリーはスピードがあって飽きさせない。
ミステリとしても合格点。
私自身には合わなかったけど、という条件をつけてならお薦めできる一冊である。

本読みな暮らし何か文句があるかしら

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2009/07/31

狡猾なる死神よ


狡猾なる死神よ

  • サラ・スチュアート・テイラー、野口 百合子
  • 東京創元社
  • 1029円
Amazonで購入
書評/ミステリ・サスペンス

★★★☆☆

本が好き!」より献本いただきました。

28歳でハーバード大学の助教授であるスウィーニー・セント・ジョージ。彼女の研究対象は墓石である。様々な時代の墓石を調査し、いつ頃、誰による作品なのかが興味の対象なのだ。
その彼女を惹きつけるひとつの墓石。
舟の中に横たわる美少女の死体。それに覆い被さるように死神が配置されている。作成された時期と、作品の傾向との不合が彼女の興味を引いた。
その墓地の近くにある親戚の家に一緒に行かないかと友人トビーに誘われたスウィーニーは、最初は迷うものの、その墓石に眠る女性の子孫が突然亡くなったことに疑問をもち、ついていくことにした。

さて、このミステリ。難を言えば登場人物が多すぎるのである。現代に生きる人々、何十年も前の芸術家達、それに関わる村人。誰が誰の息子で、誰と誰が恋人なのか、本気で集中しなければ、そのミステリの世界に入り込めない。しかし、中盤を過ぎる頃から、どんどんと話が加速していき、最後まであっという間に読み終えてしまった。

最初に怪しいなと思った人物が、やはり犯人だった。ミステリの読み過ぎか、こういうことには勘が働くようになったようだ。
トリックや動機など、ミステリに関するものについては、全く面白味はない。
ただ、芸術家村という一風変わった場所に住む人々の生活ぶりは楽しく読めた。ミステリではあるけれど、謎を解くより冒険を楽しむと言った類のものだと、私は思う。
それと、芸術作品の描写。これは美しかった。実物を想像してみたとしても、その美しさには到底及ばないだろう。
各時代の芸術作品や詩歌が登場するが、こういったものに造詣が深い方なら、もっと楽しめる作品だ。

このスウィーニー・セント・ジョージ女史が主人公になる作品がシリーズ化されているという。機会があれば読んで、この作品と比較してみたいものだ。

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2009/07/08

幽霊屋敷の謎


幽霊屋敷の謎

Amazonで購入
書評/ミステリ・サスペンス

★★★☆☆

本が好き!」から献本いただきました。

読みながら、そして読み終わって思うのは、この本に小・中学生の頃に出逢いたかったということだった。その頃に出逢っていたら、ドキドキワクワクしながら読めたのに。
かといって、大人になった今、読んでも楽しめないわけではない。非常にスリリングな冒険ミステリだった。

友人の叔母の家で起こる様々な幽霊事件。そこへ父の誘拐事件が加わっていく。主人公ナンシーにとっては、落ち着く暇もないほどの出来事が次々と起こるのだ。
それなのに、ナンシーは見事に次から次へと難題を解決していく。その爽快なことといったらない。
序盤は少しスロースタートだったが、中盤からラストに向かうまで、息つく暇もなく事件が起こり、それが面白いように解決されていく。
正直、少し上手く行き過ぎかな?という点もなきにしもあらず。警察や弁護士、いろんな人々がみんなナンシーのお手伝いをしてくれる。その辺りも、少し違和感を覚えた。

表紙の絵をみて、ナンシーというのはティーンになったばかりの少女かと思っていたが、そうではないようだ。自分で車を運転したりしているところを見ると、二十歳前後かな?
読んでいても今ひとつ主人公の年齢設定が見えてこなくて、感情移入しづらく、そこが少し難点だった。

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