ブーリン家の姉妹〈下〉
ブーリン家の姉妹〈下〉
著者:フィリッパ・グレゴリー
訳者:加藤洋子
★★★★☆
上巻で好き勝手に振る舞ってきたアンの凋落振りが嘘のようで、くるくる回る運命の凄まじさに圧倒されてしまった。
自ら王をたぶらかし、暴君に仕立て上げてしまったアン。
その見返りが、まさか自分に向けられる日がくることなど、予想だにしなかっただろう。
ヘンリーはだんだんとアンの思い通りにならなくなっていった。それは皮肉にもアンが国王に囁いた言葉に操られ暴君となったからである。アンは自分で自分の首をとばすことになったのだ。
アンの思惑通りだったかどうかわからないが、国王は自分は一番だと、誰よりも偉いのだと、そう思うように変化していったのである。
アンは権力にだけしがみついた。本当の愛を理解していたかどうかわからない。王妃の座。国王でさえ思いのままにする力。それだけを求め続けた。
そのためにはどうしても国王の息子を産まなければならない。最初に生まれたのは元気な女の子。後のエリザベス1世だ。その後も妊娠はするものの流産、早産を繰り返す。最後に選んだ手段は...。
そのために、断頭台の露と消えることになってしまったアン。
一方、妹のメアリーは、本当の愛を見つけた。
愛とは宮廷の中にはなく、「ただの人」との間に芽生えることもあるのだと悟ったのだ。身分など関係ない、ただ二人が一緒にいられればいい、それを理解したのである。
自らの両親でさえ、自分の身が大事。娘よりも。
一族の身分を懸けられる他の「駒」があれば、それでOKなのである。
そんな宮廷の世界、その異常さに身震いする。
国王の機嫌ひとつで、栄華を極めることもあれば、堕ちるところまで堕ちることもある。
処世術が生まれつき身についた人ばかりが集っているんだろうな。
そんな世界に生まれなくて良かったなぁと言うのが正直な思い。
面白いメロドラマの世界にのめり込みすぎて、まだその世界から抜けきれない。
盛者必衰。奢れるもの久しからずや。
どの国でも同じようなドラマが展開されてきたのだろうし、今このときもドラマが生まれているのかもしれない。
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