119)歴史・海外

2009/11/13

ブーリン家の姉妹〈下〉

ブーリン家の姉妹〈下〉
著者:フィリッパ・グレゴリー
訳者:加藤洋子
★★★★☆

上巻で好き勝手に振る舞ってきたアンの凋落振りが嘘のようで、くるくる回る運命の凄まじさに圧倒されてしまった。
自ら王をたぶらかし、暴君に仕立て上げてしまったアン。
その見返りが、まさか自分に向けられる日がくることなど、予想だにしなかっただろう。

ヘンリーはだんだんとアンの思い通りにならなくなっていった。それは皮肉にもアンが国王に囁いた言葉に操られ暴君となったからである。アンは自分で自分の首をとばすことになったのだ。
アンの思惑通りだったかどうかわからないが、国王は自分は一番だと、誰よりも偉いのだと、そう思うように変化していったのである。

アンは権力にだけしがみついた。本当の愛を理解していたかどうかわからない。王妃の座。国王でさえ思いのままにする力。それだけを求め続けた。
そのためにはどうしても国王の息子を産まなければならない。最初に生まれたのは元気な女の子。後のエリザベス1世だ。その後も妊娠はするものの流産、早産を繰り返す。最後に選んだ手段は...。
そのために、断頭台の露と消えることになってしまったアン。

一方、妹のメアリーは、本当の愛を見つけた。
愛とは宮廷の中にはなく、「ただの人」との間に芽生えることもあるのだと悟ったのだ。身分など関係ない、ただ二人が一緒にいられればいい、それを理解したのである。

自らの両親でさえ、自分の身が大事。娘よりも。
一族の身分を懸けられる他の「駒」があれば、それでOKなのである。
そんな宮廷の世界、その異常さに身震いする。

国王の機嫌ひとつで、栄華を極めることもあれば、堕ちるところまで堕ちることもある。
処世術が生まれつき身についた人ばかりが集っているんだろうな。
そんな世界に生まれなくて良かったなぁと言うのが正直な思い。

面白いメロドラマの世界にのめり込みすぎて、まだその世界から抜けきれない。
盛者必衰。奢れるもの久しからずや。
どの国でも同じようなドラマが展開されてきたのだろうし、今このときもドラマが生まれているのかもしれない。

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2009/11/09

ブーリン家の姉妹〈上〉

ブーリン家の姉妹〈上〉
著者:フィリッパ・グレゴリー
訳者:加藤洋子
★★★★☆

カテゴリーは「歴史・海外」としているが、私は歴史全般について疎い方である。自分の好きな時代の本しか読んでこなかったから。
なので、史実がどうとかこうとか、そんなことは気にせず、ただ1つの物語として本書を読んだ。

時は16世紀。場所はイングランド。
王はヘンリー8世。王妃はスペイン王女であったキャサリン。

物語は国王がブーリン家の次女メアリーを見初めたことから始まる。メアリーはまだあどけない少女と言ってもよい女性。一応、結婚はしているが...。
しかし、国王の気持ちに気づいたブーリンの一族が動き始めた。国王にはまだ正式な息子がいない。王妃キャサリンとの間にはメアリー王女(後のメアリー1世)しかいないのだ。
他家へ嫁いだとはいえ、もしもメアリーが国王の寵愛を受け、息子を産めば...。

結婚したばかりの夫と無理に引き離され、悲しみに暮れるメアリーも、国王の前に出たとたん、彼に恋した。そして、ブーリン一族の思惑通り、国王の娘と息子を授かる。

メアリーはキャサリン王妃に仕えており、王妃を尊敬していた。王妃を蹴落としてまで自分の息子を国王にするなどとは考えていなかったのである。そんなメアリーは国王の寵愛を受けたが、国王のただの妾としての身分に終わる。
しかし、メアリーの姉アンは違った。
野心と自尊心のかたまりのようなアン。
目指すのは王妃の座。

現実はどうだったのであろう。
誰も知ることはできないが、こんな会話が交わされていたかも知れないと思うと、楽しくもある。
お昼のメロドラマの如き、愛憎劇と策謀の数々。こそこそと交わされる内緒話。とても人間くさいものばかり。
アンとメアリーの姉妹のやりとりも興味深い。
近い関係にあるからこそのやりとり。
時には優しく思いあい、時には激しく憎みあい。
全てを筋書き通りに運ばなければならない世界の中で、言いたいことが言える相手は、お互い同士だけだったのかもしれない。

しかし、女性はいつの世も、どの国でも、男の出世のための駒なんだな。メアリーのようにただ流れに身を任せる駒もいれば、アンのように自分の意志で未来を切り開く駒もある。
キャサリン王妃、メアリー王女の運命も男任せ。
「駒」とはいえ、人間としての気持ちも尊厳も、それほど無視されて良いものなのだろうか...。

跡継ぎを産めなければ、何の価値もないように扱われる女たち。
もう子供を産めなくなったキャサリン王妃との結婚を無かったことにして、新たにアンと結婚しようとする国王。キャサリン王妃の行く末はいかに!といったところで上巻は終わり。

しかしまぁ、同じ名前の多いこと、多いこと。
ややこしいったら、ありゃしない(苦笑)。
でも各々の特徴をつかめば、なんとか区別が付くようになる。
最初は少し厚く感じられた文庫本だったが、あっという間に読み終えてしまった。
下巻を読み終えるのもそれほど時間を要しないだろう。楽しみだ。

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2009/06/10

マリー・アントワネットの生涯

マリー・アントワネットの生涯
著者:藤本ひとみ
★☆☆☆☆

映画にもなったマリー・アントワネット。
その映画を観て、マリー・アントワネットに興味を持って、この本を手にした。
で、がっかりした。
著者はマリー・アントワネットが嫌いなんだろうなぁ。本の中ではすっごく悪賢く立ち回るしたたかな女性として書かれている。いいところはひとつもないよ~的な書き方だ。

映画を観ていて、マリー・アントワネットは政治的なことには手を染めてないのかなぁと思っていたのだけれど、結構、あれこれ策を練って動き回っているみたいだ。ここに書かれているのが本当であれば、ね。

読んでいて、最初っから何だか違和感があって、読みにくい文体に辟易していたんだけれど、なんとか半分以上は読んで、最後の4分の1くらいを残して投げ出してしまった。
申し訳ない!
これ以上は読めません...。

私とは合わなかったけれど、合う方もいらっしゃるかと思う。いろんな写真や肖像画など、豊富に載っているので、それを見るのもいいかもしれない。ただ、そのために686円(+税金)を払ってもよければ。
私は他のマリー・アントワネットを捜す旅に出ます...。

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