弁護士というお仕事
編者:別冊宝島編集部
★★★☆☆
一昔前のドラマや小説に出てくる弁護士は、スマートでクールでリッチなイメージである。今でこそ少し人間味のある弁護士もドラマの主人公に出てくるようになったけれど、それでもまだ普通の人とは違う雰囲気があったりする。
ごく普通の一市民である私は、本物の弁護士さんにお会いすることもほとんどなく、裁判所なんてところに個人的にお世話になったことはない(仕事では何度か足を運んだことはあるが)。
本物の「弁護士」という方々はどのようなことを考え、どのようなお仕事をしているのだろうか。
この本には、ホントにいろいろな弁護士さんが出てくる。
本職の弁護士さんが書いているプロローグの題が「なぜ弁護士はヤクザに似ているのか?」である。
弁護士とヤクザ。そうか、似ているのか...。ホントか?
このプロローグから引用してみると、そうかもしれないと思う。
「貸金返還請求、売掛代金請求、請負代金請求などと独特のジャーゴンで彩られてはいても、それはようするに『債権取り立て』であるし、損害賠償請求の実質は『示談』、建物収去土地明渡請求なる下を噛みそうなネーミングで表現されるものの実態は、『地上げ』であり、『債務整理』に至っては、弁護士用に、とくにこれを堅苦しく言い換える言葉自体がない。」
とある。なるほど、そうか...。
要は、目的を成し遂げるための手段を法に則って行うか、手っ取り早く暴力で行うかの違いなのかもしれない。
弁護士会から懲戒処分を受けた弁護士、自ら詐欺にあってしまった弁護士、プロ野球選手の契約更改に初めて代理人として交渉した弁護士(ちなみにこのプロ野球選手は元ヤクルトの古田監督である)、ケンカの勝ち方を指南する弁護士、いろいろと登場する。
知事の交際費公開請求や軍法会議の再審請求のような社会的な事件も出てくれば、浮気の証拠の見つけ方とか借金苦の母子の債務整理の話なども出てくる。
どれもみんな興味深い。
新聞で読むような裁判の内側を少しのぞき込めたような気がする。
自分とは関係ない遠くの世界のことだと思っていたことが、少し身近に感じられた。
弁護士が少ないことで有名な島根県の弁護士さん達のエピソードも登場する。
ある裁判での被告側代理人弁護士と原告側代理人弁護士と裁判官。
次の裁判でも同じ3つの顔が並ぶ。
ただ、「被告側」と「原告側」だけが入れ替わっているだけ。
ということもあるのだそうだ。
やりにくそうだな(苦笑)。
弁護士事務所の裏側もちらりとかいま見える。
事務員さんによって、弁護士の負担がとてつもなく多くなったり、少なくなったりとか。
夫婦で弁護士事務所を開いている家庭の内情とか。
あ、そうそう。
独身の男性弁護士は、堂々と職業を名乗るけれど、女性弁護士となると逆に職業を隠そうとするらしい。
また、既婚の女性弁護士も、あえて「独身」だと依頼者に思わせるように努力することもあるのだそうだ。
やはりまだ、女性は仕事より家庭だという先入観は浸透しているのかな。
日弁連の派閥抗争なんて、そんなものあることさえ知らなかったぞ。
政治家と変わらないではないか。
名誉職に就きたがる人間はどこの世界にもいるものなんだ。
恐喝未遂で逮捕された元山口組顧問弁護士自身が著した「実録!」は、非常に興味深かった。
弁護士という人々も、当然だけれど、非常に人間くさいものだな。
法律も大切だが、情も大切なのである。
建前と本音、上手く使い分けることが重要なのか。
この本、1人の人間の著書ではなく、様々なライターさんや弁護士さんの話が一冊に詰め込まれているのが何よりよいと思う。
いろんな目線で弁護士という職業を見ることができるのだ。
最終的に思ったのは「弁護士だって人間さ」ってこと。
そりゃ、当たり前だ。人間のみの相手をする仕事なのだから。
これから弁護士になろうという志を持っている人、かつて持っていた人、今まさに弁護士であるという人が読まれると、また違う感想を抱くのだろうな。
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